小柴 美保 (みどり荘)

中目黒のシェアワークススペース「みどり荘」を主宰する小柴美保さんにお話を伺いました。
 
インタビュアーには小柴さんと同じ高校の出身で建築家の岩本唯史さんをお招きしました。
 
 
 小柴 美保 Miho Koshiba
 
京都大学卒業後、投資銀行で日本株の取り扱いに従事。退社後にインデペンデントシンクタンク「Mirai Institute」を主宰。その中で、働き方の未来を実証する一環として、中目黒にてみどり荘(http://midori.so/)を運営。
 
 
 
 
 岩本唯史 Tadashi Iwamoto
 
早稲田大学理工学部建築学科卒業。バウハウス大学ワイマール校へ交換留学後、早稲田大学大学院修士課程修了。
2001年より八丁堀を拠点として活動。インパクコンペにてMVRDV、塚本由晴賞を受賞。翌年at-table設立に参加。リノベーションを中心とした作品を手掛ける。2003年から2006年までCETのディレクターも兼務。2010年にRaas DESIGNを設立。
建築家。Raasdesign主宰。BOAT PEOPLE Association副理事。
 
 
 
中目黒の住宅街。屋上。

 
岩本さん:凄い眺望ですね!
 
小柴さん:ええ。住宅街なので見晴らしがいいんです。この辺りって高級住宅街なんですよ。
 
岩本さん:この住宅街でみどり荘を始めるきっかけは何だったんですか?
 
小柴さん:去年の夏頃にスクーリング・パッドで親しくなった黒﨑さん(※1)達と、ポートランドとかサンフランシスコのコワーキングの話をしていたんです。
その時に、やまけんさんというデザイナーがこの建物の写真を見せてくれて。彼は日頃から自転車で面白い物件をチェックしていたんです。その写真を見て「これはいいな」と感じて、次の日にはここに来ました。この建物を見た時には「これはもうやるしかない」と(笑)
 
 
岩本さん:この建物は暫く使われてなかったんですよね。借りるまでは結構大変だったんじゃないですか?
 
小柴さん:それが大家さんを訪ねると「大手不動産が買いたいと言われても売らなかったけど、あなたたちみたいな人なら考えてもいい」と言ってくれたんです。
 
 
みどり荘の作り方。

岩本さん:さっき屋上に上がる前に見たんだけれど、壁があった部分を抜いたり、元々は外廊下だった場所を室内にしたりしてますね。ああいうのは建築をやっている人と一緒に手掛けたんですか。
 
小柴さん:みんなで、ここはこうしようといったアイデアを出していって、やまけんさんにスケッチを描いてもらって進めていきました。
ここ、最初は本当に凄い状況だったんです。何十年前のラジオが落ちてたり、使っていないキッチンがあったり。とにかく凄かった(笑)ペンキ塗りもすぐ終わるかなと思っていたら、想定以上に時間と労力がかかりました。
 
岩本さん:ペンキ塗りは小柴さん達で仕上げたんですか。
 
小柴さん:ここへの移転が確定していたメディアサーフ(※2)や、それから自由大学で手伝ってくれる人を募ったらたくさんの人が集まったんです。他にも武蔵美術大学の人が手伝ってくれたりもしました。その流れで入居している建築家の人もいます。建築とか配線周りを全部やってもらって。
 
岩本さん:そういうフェーズは、チームビルディングというかみんなが仲良くなるために、すごく大切だったんでしょうね。
 

小柴さん:ええ。そういった人達が主なメンバーになっていたりします。ただ、そういったイベントを重ねる内にどんどん盛り上がってしまって、2月にはオープンしようという話になってしまったんです。家具も揃わないままプレオープンの日を迎えました。

岩本さん:そのイベントに坂口恭平さん(※3)が来てトークをしたんでしたっけ。彼は大学の後輩なんです。
 
小柴さん:そうなんですね。ちょうど「IKIBA(※4)」にいたので、誘ってみたら来てくれて。打ち合わせもしていなかったのでハチャメチャでしたね。歌って帰って行きました。
 
岩本さん:彼は打ち合わせをしてもハチャメチャですからね(笑)何人くらいのお客さんが集まったんですか。
 
小柴さん:150人くらい来てくれました。
 
岩本さん:その後、実際に料金表ができて「皆さん入れますよ」という状態になったのはいつ頃ですか?
 
小柴さん:このイベント後も思ったより時間がかかって、更に1~2ヶ月後くらいです。とにかく体裁を整えようと考えていたんですが、いっそのことロビンソンクルーソーみたいに自力発電で行こうという話で盛り上がっちゃったりして。やや遠回りしてしまいました。
 
 
コシバミホの感覚。

岩本さん:小柴さんは金融出身でしたよね。どのようなお仕事をしていたんですか?
 
小柴さん:投資銀行で機関投資家に向けに日本株を取り扱っていました。2007年から2011年まで4年半くらいですね。
プチバブルから、リーマンショックの時期で、私が入社した年の研修は、飛行機もビジネスクラスで凄くリッチだったんですけど、翌年はエコノミーに変わりました(笑)その後にリーマンショックを迎えるんですが、そうなるだろうという予想はありました。
 
岩本さん:敢えてそこを狙ったところに興味深く感じますね。
 
小柴さん:どうせ駄目になるだろうけど、そこを見ておきたいと思って。
 

岩本さん:その頃にスクーリングパッド(※5)に行き始めたんですよね。

小柴さん:日本株を取り扱っていて如何に企業体質が古いかとか、なぜソニーが駄目でアップルがいいのかが明らかに分かるというか。スプレッドシートを見ていても何も解決できないし、金融業界にいたら何も始まらないと思っていて、いろいろとネットで検索している内にスクーリングパッドを見つけたんです。そこで黒﨑さんと仲良くなって、自由大学や、みどり荘、シンクタンクに繋がりますね。
 
岩本さん:シンクタンクはどんなメンバーでやっているのですか?
 
小柴さん:私と、サンフランシスコ出身で同じ年のジョナサンとやっています。彼は自立系マインドが備わっていて、自分で中高一貫のインターナショナルスクールを目黒で運営していました
 
 
デザインと知的感覚。

岩本さん:2002年くらいに盛り上がったリノベーションブームは、デザインで東京が変わるかもしれないと信じていた時代で、黒﨑さんはその中心人物でした。その黒﨑さんがここに来て、その時と同じ匂いというかハートビートを感じる場所を作ってくれていることが凄く嬉しくて。
 
小柴さん:黒﨑さんからその当時の話を聞くことがありますね。
 
岩本さん:それを僕の高校の後輩で、デザインを勉強してきた訳ではない小柴さんが関わっているというのが新鮮で、それはなんなのかなと考えていたんです。
きっと、その当時に東京を変えたいとか、働き方を変えたいという考えがデザインの人から広がっていって、リーマンショック以降にそれがもっと広がった。ITの人達も一巡して、お金儲けだけじゃなくてどうやって社会を変えていけるんだろうかという事を言い始めた。次のフェーズに突入した感じです。

2002年に重要なポジションにいた黒﨑さんように、今回は小柴さんがそのポジションにいるのかも知れないと思ってます。今、小柴さんの回りには色んな人が集まっているんじゃないですか。
 
小柴さん:先ずは、どういう人をどういう風に呼ぼうかを考えているところです。
最近「MONOCLE24(※6)」というラジオを聞いたのですが、経済も政治もアートも合わせたような感覚なんです。それに近い知的感覚を持っている人や、デザイナーだからといってデザインだけではない人。そういう人が来たらエッジになるんじゃないかと思っています。
 
岩本さん:先日、僕が開催したイベントには、そういう人達が集まりました。先ずはそういう人達が同じ場所にいるという状況を作って、何が起こるか確かめてみたいと考えたんです。わざわざ集まるのではなくて、そこに居るから話をするという状況が重要だと思って。
みどり荘はそういう作りになっていて、かといって全部を見渡せる訳ではないから、望まないと話せないという感覚もある。そういうバランスがここは素敵だなと思います。
 
小柴さん:ありがとうございます。新しく入った人に関しては、紹介をしっかりするようにしています。最近も新しく入ったグラフィックデザイナーの人がいて、旦那さんと一緒に獣肉レストランをやっていて。紹介をきっかけに「246COMMON(※7)」にも出店することになったり。
 
岩本さん: 「246COMMON」のスタッフとして働くことで、みどり荘のチームビルディングがされていったりするのかな。
 
小柴さん:身近にいる人に協力してもらった方が健全なんじゃないかっていう考え方かもしれないですね。
 
 
ビジネスと美的感覚。

岩本さん:現在のみどり荘はどんなメンバー構成なんですか?
 
小柴さん:建築家とかデザイナー、PRの人がいますね。その他にはプロジェクトベースで音楽プロデューサーをしている方がいたり。今はITベンチャーの方がいないので入ってくれたらいいなあとも思っています。
 
岩本さん:僕はITの人達の仕事のやり方が気になるんですけど、彼らはエンジェルって呼ばれる投資家にピッチをしますよね。そういった環境がコワーキングスペースにはあって、そこでビジネスのシードが芽生えていると聞いたりします。ただ、運営側の投資家へ対する働きかけが無いと、そういう環境は出来ないのかなとも思います。
 
小柴さん:そうですね。私もそう考えていて、どこから手を付けようかという段階です。
以前、サンフランシスコのコワーキングスペースを見に行ったのですが、そこには弁護士とか投資家が来て、面白い会社にはお金を出すそうです。そして、会社がある程度の規模になったらそこを出ていく。
 
岩本さん:どんなスペースなんですか?

小柴さん:古い倉庫をリノベーションしていて、レンガの中に机を並べたようなスペースでした。みんなスカイプをしているのでかなりうるさいんです。ただ、クリエイティビティも感じました。なぜ、日本ではシリコンバレーなどに比べると面白い企業が生まれないのかなと考えましたね。
 
岩本さん:みどり荘はその答えの一つになるんですね。
 
小柴さん:エンジェルの人って金融出身の方が多いじゃないですか。デザインやアートへの興味が無いと、みどり荘にはなかなか興味を示してくれないし、興味を示してくれたとしてもそういう人たちは、ビジネスの定石を持ち込もうとする。そうではなくて美的感覚を入れることによってAppleみたい会社ができるのではと考えていて、みどり荘ではそれをやりたいんですよね。
 
2012年 みどり荘にて
(text: 永井一二三)
 
 
※1 黒﨑輝男氏。IDEEの創業者。
※2 メディアサーフ・・・メディアサーフコミュニケーション株式会社。http://www.mediasurf.co.jp
※4 IKIBA…http://iki-ba.jp/
※5 スクーリングパッド…http://www.schooling-pad.jp/
※6 MONOCLE24・・・http://www.monocle.com/24/
※7 246COMMON・・・http://www.246common.jp/
 
 
みどり荘 HP:http://midori.so/
 
 

 

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